身体症状症(身体表現性障害)とは?

身体症状症(身体表現性障害)とは?

身体症状症は患者さんの自覚症状に見合う身体的異常や検査結果がないにもかかわらず、痛みや吐き気、しびれなど多くの身体的な症状が長い期間にわたって続く病気です。患者さんの中には、体に力が入らなくなったり、けいれん発作のような症状が出現したりすることもあります。症状は体のさまざまな場所に生じ、しばしば変化します。患者さんの中には、症状を身体的に説明する原因がないということが受け入れられず、医療機関を転々としてしまい、精神科受診に至るまでかなりの時間がかかってしまう方もいらっしゃいます。また、多くの患者さんは、そうした身体症状のために仕事、学校や家庭などにおける日常生活に支障が出ています。疼痛があって、内科、整形外科、外科、皮膚科その他の各診療科で、MRI、CT、レントゲン、血液検査などのいろいろな検査をしても原因が見つからないので自律神経の病気ということで来院する疾患でもあります。
従来は身体表現性障害と呼ばれていましたが、重複があったり境界があいまいだったりしたことから、専門家が話し合ったうえで新しい呼び名では「身体症状症および関連症候群」と呼ぶことになりました。以下では、新しい名称を使いながら、一部、古い名称をも併記しながら説明します。

身体症状症(身体表現性障害)の原因

心理的なストレスが要因となり、それが身体症状として表現されたものと考えられています。心身の疲労やライフイベントといった環境変化などがストレスの一因として考えられていますが、明確にはわかっていません。完璧主義や神経質な性格傾向など認知や思考パターンが関連していると言われています。

身体症状症(身体表現性障害)の症状

身体症状症は、大きく4つの種類に分類されます。

1. 身体症状症

身体表現証という疾患のなかに同じ名前の分類でまぎらわしいですが、そういう名称の種類として使われています。
身体症状症では下記の症状があっても、MRI、CT、レントゲン、血液検査などのいろいろな検査をしても原因が見つからないものです。

  1. 胃が痛い、不快感がある
  2. 体がだるい、微熱が続く
  3. 手足がしびれる
  4. 体が痛い
  5. めまいを感じる
  6. 吐き気、動悸がする
  7. その他の身体的な各種異常

病気不安症

身体的な病気はない(または軽度)にもかかわらず「重い病気である」「病気にかかりそうだ」という不安にとらわれ、恐怖を感じている状態です。「自分は大病を患っている」と考え、何度も医療機関を受診したり、検査をしたりします。医療機関を受診しても原因がわからないため、強い不安や絶望感を抱きます。
医師から「何も問題はない」と言われて見放されたように感じたり、不信感や怒りを抱いたりすることもあります。患者様は身体症状の原因を突き止めるために、多くの時間やエネルギーを費やしてしまい、生活や仕事にまで影響することがあります。

転換性障害

身体的な原因が見当たらず、下記のような感覚機能の変化や随意運動の症状が現れる場合、心理的要因が原因である場合があります。

  1. 力が入らない
  2. 皮膚の感覚がおかしい
  3. 声が出なくなる
  4. 姿勢を保てなくなる
  5. 歩けなくなる、立てなくなる
  6. 目が見えなくなる
  7. 耳が聞こえなくなる
  8. においや味がわからなくなる
  9. 飲み込みがうまくできなくなる
  10. ものに触っても熱い・冷たいがわからなくなる
  11. その他の感覚昨日の変化など

疼痛性障害

心理的要因が原因で「痛み」を感じる場合があります。
痛みは身体のあらゆる部分で生じ、背中・頭部・腹部・胸部が一般的です。

身体症状症(身体表現性障害)の診断

身体症状があっても、それを引き起こすような身体疾患が存在しないことが診断の大前提となります。
現れている症状について身体の診療科にて診察を受けていただき、症状の元となるような病気がないことを確認します(初めから精神科・心療内科に受診することは稀で、身体の診療科の診察で問題がなく、その後、精神科・心療内科を受診するパターンがほとんどです)。身体疾患がないにも関わらず、さまざまな身体症状が続くときに初めて身体症状症と診断します。
身体症状症では、患者さん自身は実際にその症状によって苦痛を感じています。詐病や仮病とは異なるため、周囲の理解やサポートも必要となることがあります。

身体症状症(身体表現性障害)の治療

身体的な問題はないということを理解、納得することが大切です。患者様にとっては辛い症状なので、身体的な問題がないということを受け入れるには時間がかかる場合もあります。しかし、身体的な精査や、検査結果に基づかない治療を繰り返すことでは症状は改善しないばかりか、症状に苦しむ時間が長引くことになります。
精神的な加療を行えば、大部分が改善して、完治することが多いので薬物療法、精神療法を行います。

  • 薬物療法

    抗うつ薬や抗不安薬を用います。痛みの症状が強い場合は、ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)と呼ばれるタイプの抗うつ薬を使用することがあります。 薬物療法の効果が乏しい場合、精神療法と組み合わせながら慎重に別な種類の薬を追加することもあります。

  • 精神療法

    症状が悪くなるきっかけや状況、症状が良くなる因子を明確にし、症状が軽くなるような行動を促していきます。また、症状の原因となるストレスについて理解したり、対処法を考えていくことも大切です。

よくある質問

身体症状症の発病サインはどのように現れますか?

身体症状症の発病サインは、体のあちこちが痛む、疲れが取れない、消化不良や下痢が続くなどの形で現れます。これらの症状は、病院で検査をしても特定の病気が見つからないことが多いです。また、症状が長期間続くことが特徴です。

身体症状症を放置するとどんな影響がありますか?

身体症状症を放置すると、症状が悪化し、日常生活に大きな支障をきたすことが多くなります。例えば、仕事や学業のパフォーマンスが低下し、人間関係にも悪影響を及ぼします。また、慢性的な痛みや体調不良が続くため、生活の質が大幅に低下します。

身体症状症の治療において、どのくらいの頻度で医師の診察を受ける必要がありますか?

身体症状症の治療においては、初期の段階では週に1回程度の頻度で診察を受けることが一般的です。症状が安定してきたら、診察の頻度は月に1回程度に減らすことができます。医師と相談しながら、適切な診察のスケジュールを決めることが大切です。

身体症状症の人はアルコールを控えるべきですか?

身体症状症の人はアルコールを控えるべきです。アルコールは症状を悪化させることがあり、薬の効果を妨げる可能性があります。特に過度の飲酒は避けるようにしましょう。

身体症状症の人はどのようにストレスを管理すれば良いですか?

身体症状症の人は、ストレスを管理するためにリラクゼーション技術や適度な運動を取り入れることが効果的です。また、規則正しい生活リズムを保つことや、友人や家族のサポートを受けることも重要です。

身体症状症の治療にはカウンセリングが効果的ですか?

カウンセリングは身体症状症の治療において非常に効果的です。認知行動療法(CBT)やストレス管理技術は、症状の管理に役立ちます。カウンセリングを受けることで、ストレスの管理や生活習慣の改善に役立ちます。

身体症状症の症状がある場合、医師にどのように相談すれば良いですか?

身体症状症の症状がある場合、医師には具体的な症状や生活への影響を詳細に伝えることが大切です。例えば、頭痛やめまい、動悸、消化不良などを具体的に説明しましょう。

身体症状症は治りますか?

身体症状症は適切な治療を受けることで改善することが多いです。治療には時間がかかることもありますが、専門医の指導のもとで治療を続けることで、症状を軽減し、生活の質を向上させることができます。

身体症状症の予防方法はありますか?

身体症状症の予防には、規則正しい生活リズムを保つ、ストレスを管理する方法を学ぶ、リラクゼーション技術を取り入れるなどが効果的です。また、早期に症状を察知し、適切な治療を受けることも重要です。