パニック障害とは

パニック障害とは

パニック障害は、特段のきっかけが見当たらないのに、突然パニックが襲ってくるように感じてしまう病気です。激しい動悸やめまい、発汗、窒息感、手足の震えなどの発作が起こり、日常生活に支障が出るようになります。こうした辛い症状を自分ではコントロール出来ませんので、不安感が募っていきます。重症になると、そのまま死んでしまうのではないかと強い恐怖を抱くこともあります。

パニック障害の症状

  • 身体症状

    パニック障害において、代表的な身体症状は以下の通りです。

    • 動悸がする、脈拍数が上がる(頻脈)
    • 息が苦しい、窒息感、呼吸困難
    • 胸の痛み、不快感
    • ほてり、悪寒
    • 吐き気
    • 腹痛、下痢
    • 発汗
    • 身体の震え
  • 精神症状

    パニック障害において、代表的な精神症状は以下の通りです。

    • 「再び発作を起こしたらどうしようか」という強い恐怖感や不安感(予期不安)
    • 「人が多くいる場所でパニック発作が起こったらどうしよう」「人にパニック発作を見られるのが怖い」などの感情を抱く(広場恐怖)
    • 死ぬことへの恐怖感
    • 非現実的感、この世にいないような感覚
    • 正気を失うことへの恐怖感
    • めまい、頭がくらくらする感じ

治療法

  • 薬物療法

    パニック発作が起こらないようにするため、抗不安薬や抗うつ薬を規則正しく服用します。具体的には、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRIと呼ばれます)、ベンゾジアゼピン系抗不安薬、三環系抗うつ薬などが用いられます。まず低用量から内服し、治療反応を見ながら徐々に増やしていきます。投薬開始からある程度の効果が現われるまでに4~6週間かかりますので、医師の処方を守り、途中で中断しないようにすることが大切です。

  • 認知行動療法

    パニック障害を発症した患者さまは、日常生活の何気ない生理現象(階段をのぼった際の動悸など)でもパニック発作が発症したと不安を抱えてしまうケースがあります。このような不安がパニック発作を発症させてしまう原因となる場合もあります。
    認知行動療法にて、パニック障害という病気を理解して自分の思考の偏りに気づき、考え方を修正していく「認知療法」と、あえて人が多く集まる場所に身を置いて心と体を慣らしていく「行動療法」を組み合わせた治療を行っていきます。薬物療法と並行して行うことで、日常生活を送るうえでの不安感を軽減させパニック障害の改善を早めます。

治療の流れ

パニック障害が起こらないように抗うつ剤や安定剤を内服するとともに、上述した認知行動療法を組み合わせます。パニック障害が起きたときのためのお守りとして、パニック障害が万が一起きた時のための安定剤を処方するケースが多いです。時間はかかりますが、自然とパニック障害は怒らなくなり、症状が軽減します。そして、パニック障害が起こらないと診察で判断した上で治療が無事に終了となります。

よくある質問

長い間薬を服用して悪影響はありませんか?

パニック障害の治療に用いられるお薬は、医師の指導のもと適切に服用すれば副作用はほとんど起きません。反対に、急に薬の服用を止めてしまうとパニック障害が悪化してしまうことがありますのでご注意ください。

パニック障害はどのようなときに起きやすいですか?

多くの場合、外出時や何か作業をしている際に起きやすいです。
何のきっかけもなく突然起こるため、対処が難しい症状です。
放っておいても自然に良くなる見込みは少ないため、まずは医師に相談することが大切です。

医師からパニック障害と診断されましたが、新幹線や飛行機に乗るときだけしか起こらないので、頓服(毎日飲むのではなく発作が起きた時のための薬)をそのときに飲めば大丈夫ですが、他の抗うつ剤や安定剤も飲んだ方がいいですか?

たしかに特定の場所でしか起こらないので、頓服だけで症状はその場はおさまります。だ根本的な治療とはならず、完治には向かわないので一生パニック障害と付き合うことになるため、根治薬である抗うつ剤や安定剤を粘り強く飲んだ方が、きちんと完治します。

パニック障害を持っている方がパニックを起こしたとき、周りの人はどうすればいいですか?

発作の時は「大丈夫」と背中を優しくさすってあげましょう。発作では死なない、とわかっていても、パニック障害の患者さんは発作がおこると強い不安にとらわれてしまいます。 そばにいる人が「大丈夫」と優しく声をかけて背中をさするなどすることで不安を少しでも軽くするように手をさしのべてあげましょう。

一人でいるとき、パニック発作が起きたらどのように対処したらよいでしょうか?

医師から頓服(発作が起きた時だけ内服する薬)が出ている場合は、それを内服すると治ります。頓服がない場合は対処としてはできるだけゆっくりと深い呼吸をすることが大切です。椅子に座ったり横になったりして呼吸をしやすくしましょう。何よりも慌てず、楽な気持ちが大切です。
もし過呼吸になってしまったら、息を吐くことに意識をしましょう。過呼吸の時は息を吸い込みやすく、酸素が多い状態になっています。ゆっくりと長く息を吐き、体内の酸素バランスを整えてあげることで呼吸が楽になってきます。

パニック障害の人は何が苦手ですか?

パニック障害の方は人混みや狭い空間が苦手なため、避けてしまうのもあるあるの1つです。 刺激に敏感な人が多いため、人が多いショッピングモールや満員電車を恐怖と感じます。 また、トイレやエレベーター等の狭い空間だと発作が起きても助けを呼べないと感じることがあります。

パニック障害の治療のために、日常生活の中で取り組めることは何でしょうか?

アルコール・タバコは一時的に不安を和らげますが、すぐに不安感が強まるため、徐々に飲酒・喫煙に依存するようになってしまいます。また、お酒・タバコはお薬の効果に影響を与えますので、できるだけ禁酒・禁煙することをおすすめします。
また、カフェインを含む飲料を飲んで、不安感が強まったりドキドキした場合は、できるだけカフェインを避けるようにしましょう。