生活保護で働かない人が増えているのか?④

医療現場で「症状は軽そうだが、働くことを強く避けている」と感じるケースは、精神科領域では一定数報告されています。特に うつ病適応障害 の患者で、以下のような要因が重なっていることがあります。


1️⃣ 回避行動(avoidance)の固定化

心理学では 「回避行動」 が症状を維持する要因になることがあります。
ストレス源(仕事、人間関係など)を避けると

  • 一時的に楽になる
  • 不安や抑うつが下がる

しかしその結果

  • 「働く=危険・苦しい」という認識が強まる
  • 復職のハードルがさらに上がる

という悪循環になることがあります。


2️⃣ 長期離職による社会復帰のハードル

仕事から離れている期間が長いほど

  • 生活リズムが昼夜逆転
  • 対人スキルの低下
  • 自己効力感の低下

などが起きやすく、医学的症状以上に「社会的機能」が落ちることがあります。


3️⃣ 二次的利益(secondary gain)

精神医学では、症状によって

  • 仕事のプレッシャーから解放
  • 経済的支援が得られる
  • 周囲から配慮される

といった 二次的利益 が生じる場合があります。
これは意図的な「詐病」とは限らず、無意識レベルで維持されることも多いとされています。


4️⃣ 医療と福祉の役割のズレ

医師の立場では

  • 医学的に重症ではない
  • ある程度の就労は可能そう

と感じても、制度上は

  • 医師の診断書
  • 福祉事務所の判断

に大きく依存します。

そのため医師が社会保障の判断役に近い立場になり、負担を感じることが指摘されています。


5️⃣ 現場で試みられるアプローチ

こうしたケースでは

  • 小さな活動目標(外出・ボランティアなど)
  • 段階的な就労支援
  • 認知行動療法などの心理的介入

を組み合わせることで、回避パターンを少しずつ変えていく方法が使われることがあります。