現在の医学では、A型・B型・O型・AB型によって、うつ病になりやすさが明確に決まるとは考えられていません。
一部の小規模な研究では、特定の血液型とうつ症状との関連が報告されています。しかし、調査対象や方法によって結果が一致しておらず、血液型からうつ病の発症リスクを予測できる段階ではありません。
特に、遺伝情報からABO血液型とうつ病の関係を調べた研究では、ABO血液型と大うつ病性障害との関連を示す証拠は認められなかったと報告されています。
なぜ「血液型とうつ病が関係する」と言われるのか
1.一部の研究で差が報告されている
日本の医療機関職員を対象にした2021年の研究では、ABO血液型とうつ症状の関連が検討されました。ただし、この研究は新型コロナ流行中の一つの医療機関を対象とした横断研究であり、血液型がうつ症状の原因であることを証明したものではありません。
産後うつ症状についても、特定の血液型との関連を示した研究がありますが、対象が限定されており、他の集団でも再現されるかは不明です。
2.血液型と性格を結びつける文化がある
日本では「A型は真面目」「B型はマイペース」など、血液型と性格を結びつける考え方が広く知られています。
しかし、仮に血液型と一部の性格傾向に弱い統計的関連があったとしても、それだけでうつ病の発症を説明することはできません。血液型と性格に関する研究結果自体も予備的で、慎重な解釈が必要とされています。
うつ病に関係する主な要因
うつ病は、血液型ではなく、複数の要因が重なって発症すると考えられています。
- うつ病になりやすい遺伝的・生物学的背景
- 強い心理的ストレス
- 職場や家庭の問題
- 人間関係の変化
- 睡眠不足や生活リズムの乱れ
- 出産、更年期、身体疾患などの変化
- アルコールや一部の薬剤
- 孤立や経済的問題
同じ出来事があっても、発症するかどうかは、その人の体質、経験、環境、支援の有無などによって異なります。
血液型による性格判断に注意
「A型だから神経質でうつ病になりやすい」「O型だから楽天的でうつ病にはならない」といった説明には医学的な根拠がありません。
このような考え方には、次の問題があります。
- 本人の苦しみを性格のせいにしてしまう
- 必要な受診が遅れる
- 他の血液型だから大丈夫と誤解する
- 職場や家庭で偏見につながる
どの血液型の人でも、うつ病になる可能性があります。
血液型より注目したい症状
次の状態が2週間以上続く場合は、血液型にかかわらず、心療内科・精神科などへの相談を検討します。
- 気分が沈む
- 好きだったことを楽しめない
- 朝起きられない
- 眠れない、または眠りすぎる
- 食欲が大きく変化した
- 疲れが取れない
- 集中力や判断力が落ちた
- 自分を強く責める
- 死にたい、消えたいと考える
まとめ
うつ病とABO血液型の間に、診断や予防に使えるほど確かな関係は確認されていません。
一部に関連を示す研究はありますが、結果は一貫せず、血液型がうつ病を引き起こすという証拠もありません。大切なのは血液型ではなく、現在の症状、睡眠、ストレス、生活への支障などを見ることです。


