本人が語った症状・休養・回復
芸能界やスポーツ界など第一線で活躍している人でも、うつ病になることがあります。
著名人が自身の経験を公表するようになったことで、「うつ病は特別な人だけがなる病気ではない」「休養することも治療の一部」という理解も広がってきました。
ここでは、本人が自身の経験として語ったり、本人コメントを伴って公表されたりしたことを確認できる日本の著名人を中心に紹介します。本人が病名を明らかにしていないケースを、憶測で「うつ病」とすることは避けます。
1.丸岡いずみさん
「漢字を読むのが怖い」――仕事中に現れた異変
元日本テレビ記者・キャスターの丸岡いずみさんは、自身のうつ病経験を繰り返し公表しています。
2025年のテレビ出演では、ニュース原稿を読んでいる際、それまで普通に読めていた漢字にまで振り仮名を振らないと不安になるようになったと振り返っています。「自分がおかしい」と感じて受診したことが、治療につながりました。
丸岡さんは2011年の東日本大震災後に体調を崩し、自律神経失調症、適応障害を経てうつを発症したとされています。
約7か月の休養
2026年4月にも本人が過去を振り返り、約7か月仕事を休んだことを明らかにしています。そして「休養したから今がある」という趣旨の発信をしています。
回復後は、自身のうつ病経験や再発予防について積極的に発信しています。
2.小川宏さん
倦怠感から始まり、食欲低下・不眠へ
NHKアナウンサーを経て『小川宏ショー』の司会者として活躍した小川宏さんは、自身のうつ病経験を著書で詳しく明らかにしています。
本人の記述によると、最初に現れたのは強い倦怠感でした。
その後、
- 食欲がなくなる
- 部屋に引きこもる
- 夜中に目が覚めて眠れない
- イライラしてじっとしていられない
など、症状が徐々に強くなっていきました。
症状は非常に深刻になり、自殺を考えるまでに至りましたが、入院してうつ病の治療を受けました。自身の闘病について『私の「うつ病」体験記』などの著書を残しています。
3.田中圭一さん
うつ病からの回復を『うつヌケ』に
漫画家の田中圭一さんは、自身のうつ病経験を公表し、それをきっかけに漫画『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』を制作したことで知られています。
田中さんの特徴は、「うつ病になったこと」だけでなく、「どのように回復していったのか」まで作品として伝えたことです。
『うつヌケ』では自身の経験に加えて、さまざまなうつ経験者の体験が紹介されています。
うつ病の回復が、
「ある日突然完全に元通りになる」のではなく、波を繰り返しながら進んでいく
ことを理解するうえでも参考になるケースです。
4.萩原流行さん
夫婦でうつ病を経験
俳優の萩原流行さんも、自身のうつ病経験について公に語った著名人です。
妻とともにうつ病を経験し、夫婦で闘病について発信しました。
その経験は『Wうつ ~うつが、ふたりを本当の夫婦にした。~』として書籍化されています。
家族の中で一人だけが患者で、もう一人が一方的に支えるという形ではなく、夫婦それぞれがメンタルヘルスの問題を抱えることがあるという点でも注目されたケースです。
5.名倉潤さん
手術後にうつ病を発症し休養
お笑いトリオ・ネプチューンの名倉潤さんは2019年、うつ病のため約2か月休養しました。
所属事務所の発表では、前年に受けた頸椎椎間板ヘルニア手術の「侵襲」という身体的ストレスが要因となり、うつ病を発症したと説明されました。
名倉さん自身も休養発表に際し、
体調を回復させて戻ってくる
という趣旨のコメントを発表しています。
このケースで重要なのは、うつ病のきっかけが必ずしも「仕事の悩み」「人間関係」といった心理的ストレスだけではないことです。
病気や手術など、身体に対する大きな負担が発症に関連することもあります。
6.大坂なおみさん
世界のトップアスリートがメンタルヘルスを公表
芸能人ではありませんが、日本を代表する著名人として外せないのが、テニス選手の大坂なおみさんです。
2021年の全仏オープンをめぐり、本人が2018年の全米オープン以降、長期間にわたってうつ状態に苦しんできたことを明らかにしました。
大坂さんの公表は世界的に大きく報道され、トップアスリートのメンタルヘルスと、休養する権利について議論される大きなきっかけになりました。
有名人の経験から見えてくる「うつ病の始まり」
興味深いのは、最初から全員が「悲しくて仕方がない」と感じていたわけではないことです。
例えば、
丸岡いずみさん
→ 漢字を読むことへの強い不安など仕事上の異変
小川宏さん
→ 原因の分からない強い倦怠感
のように、身体症状や仕事能力の変化から始まることがあります。
うつ病の初期には、
- 疲れが取れない
- 眠れない
- 食欲が落ちる
- 集中できない
- 判断に自信がなくなる
- 以前なら簡単だった仕事が難しく感じる
といった変化が先に現れることがあります。
「休む」ことが治療になる
今回紹介した人たちの経験で、もう一つ共通しているのが休養です。
特に丸岡さんは2026年、自身が約7か月仕事を休んだ経験を振り返り、芸能界でも体調不良を感じたら早めに休む傾向が広がっていることを肯定的に評価しています。
うつ病では、「頑張って仕事を続けること」が必ずしも正解ではありません。
症状や仕事内容によっては、
仕事量を減らす → 休職する → 治療する → 徐々に活動する → 段階的に復職する
という流れが必要になることがあります。
「有名人だから治った」わけではない
有名人の闘病記事では「克服」「復活」という言葉が使われがちですが、うつ病の回復はそれほど単純ではありません。
治療の基本は一般の人と同じで、病状に応じて、
- 十分な休養
- 生活環境の調整
- 抗うつ薬などの薬物療法
- 認知行動療法などの精神療法
- 家族や周囲からの支援
- 再発予防
などを組み合わせます。
そして回復後も、無理をすると症状が再燃する場合があります。
有名人の公表が伝えていること
有名人がうつ病を公表する意義は、「誰がうつ病になったのか」という興味だけではありません。
仕事で成功している人でも、明るく見える人でも、責任感の強い人でも、うつ病になる可能性があります。
また、休養することは「逃げ」ではなく、病状によっては治療上必要な選択です。
丸岡いずみさん、小川宏さん、田中圭一さんなどが自身の経験を公に語ったことは、精神疾患に対する社会の理解を深めることにもつながっています。
まとめ
うつ病を自身の経験として公表した日本の著名人には、丸岡いずみさん、小川宏さん、田中圭一さん、萩原流行さんなどがいます。また、名倉潤さんは本人コメントを伴う所属事務所の公式発表でうつ病による休養が明らかになっています。
彼らの経験から分かるのは、うつ病の症状や経過には大きな個人差があるということです。
**「以前と何か違う」「眠れない」「疲れが取れない」「今までできていた仕事ができない」**という変化が続く場合、それは心身からのサインかもしれません。
有名人の体験を「この人もなったから自分も同じ病気だ」と自己診断するためではなく、早めに異変に気づき、必要なときに休養や医療につながるための参考にすることが大切です。


