「やめたいのにやめられない」のはなぜ?早期発見と回復のためにできること
「もうギャンブルはやめようと思っているのに、またやってしまう」
「負けたお金を取り返そうとして、さらにお金を使ってしまう」
「家族に隠れて借金をしている」
「ギャンブルをしていないと落ち着かない」
こうした状態が続いている場合、ギャンブル障害(一般にギャンブル依存症と呼ばれる状態)の可能性があります。
ギャンブル依存症は、単にギャンブルが好きなことや、お金の使い方が荒いこととは異なります。ギャンブルをコントロールすることが難しくなり、生活に深刻な問題が生じても続けてしまう精神疾患です。
適切な治療や支援によって、ギャンブルをやめ、生活を立て直していくことは可能です。
今回は、ギャンブル依存症の特徴、原因、症状、治療方法、家族が取るべき対応について解説します。
1.ギャンブル依存症とは?
ギャンブル依存症とは、ギャンブルへの衝動をコントロールできなくなり、生活や人間関係に悪影響が生じてもギャンブルを続けてしまう病気です。
医学的には「ギャンブル障害」と呼ばれ、DSM-5-TRでは物質関連障害および嗜癖性障害群に分類されています。
対象となるギャンブルには、パチンコ・パチスロ、競馬、競輪、競艇、スポーツ賭博、オンラインカジノなどがあります。
なお、日本国内からオンラインカジノで賭博を行うことは違法です。海外で合法的に運営されているサイトであっても、日本から利用すれば違法となります。
2.ギャンブル依存症の主な症状
① やめようとしてもやめられない
「今日で最後にしよう」と決めても、繰り返しギャンブルをしてしまいます。
② 負けを取り返そうとする
負けた金額を取り戻すため、さらにギャンブルを続けてしまいます。これは「追いかけ行動」と呼ばれます。
③ 借金を繰り返す
生活費を使い込んだり、消費者金融や知人から借金をしたりする場合があります。
④ 家族や周囲に嘘をつく
ギャンブルをしたことや、使った金額、借金などを隠すようになる場合があります。
⑤ ギャンブルのことばかり考える
仕事中や家族と過ごしているときにも、次のギャンブルや資金のことを考えてしまいます。
⑥ ギャンブルができないと落ち着かない
ギャンブルを控えようとすると、イライラしたり、そわそわしたりする場合があります。
3.なぜギャンブル依存症になるのか?
ギャンブル依存症の発症には、脳の報酬系、心理的要因、環境的要因などが関係すると考えられています。
脳の報酬系との関係
ギャンブルで勝ったときの興奮や期待感には、ドーパミンなどが関係する脳の報酬系が関与しています。
また、ギャンブルでは勝敗が予測できないことが、行動を繰り返す要因の一つになります。
ただし、ギャンブル依存症を単純に「ドーパミンが多すぎる病気」と説明することはできません。
ストレスや心理的な要因
仕事のストレス、不安、孤独感、抑うつ気分などから逃れるために、ギャンブルを始める人もいます。
一時的に気分が紛れても、負けや借金によってさらにストレスが増え、ギャンブルを繰り返す悪循環に陥る場合があります。
環境的な要因
ギャンブル施設へのアクセスのしやすさ、スマートフォンによる利用、広告や周囲の影響なども関係します。
4.ギャンブル依存症の悪循環
ストレス・不安・退屈
ギャンブルをする
一時的な興奮・気分転換
負け・借金・罪悪感
さらにストレスが増え、再びギャンブルへ
ギャンブル依存症では、このような悪循環が形成されることがあります。
特に、負けを取り返そうとする行動は、経済的な問題をさらに深刻にする原因になります。
5.ギャンブル依存症と単なる趣味の違い
| 比較項目 | 趣味としてのギャンブル | ギャンブル依存症 |
|---|---|---|
| 行動のコントロール | 予算や時間を守れる | やめようとしてもやめられない |
| お金の使い方 | 生活費に影響しない範囲 | 生活費や借金にまで影響する |
| 生活への影響 | 大きな支障がない | 仕事・家庭・人間関係に支障が出る |
| 嘘や隠し事 | 必ずしもない | 金額や行動を隠す場合がある |
| やめようとしたとき | 比較的やめられる | 強い衝動や落ち着かなさが生じる |
ギャンブルに使う金額だけで依存症かどうかが決まるわけではありません。
重要なのは、ギャンブルをコントロールできているか、生活にどの程度の支障が生じているかという点です。
6.ギャンブル依存症の治療法
ギャンブル依存症の治療では、心理社会的な支援が中心になります。
認知行動療法(CBT)
認知行動療法では、ギャンブルにつながる考え方や行動のパターンを整理し、再発を防ぐ方法を学びます。
例えば、「次こそ勝てる」「負けた分は取り返せる」といった考え方を見直し、ギャンブルへの衝動が生じたときの対処法を練習します。
動機づけ面接
本人がギャンブルをやめたいと思う気持ちと、続けたいと思う気持ちの両方を整理し、変化への動機を高める支援です。
自助グループ
ギャンブラーズ・アノニマス(GA)などでは、同じ問題を経験した人と体験を共有しながら、回復を目指します。
薬物療法
現時点で、日本ではギャンブル障害そのものに対して承認された標準的な治療薬はありません。
ただし、うつ病、不安症、ADHDなどが併存している場合には、それぞれの病気に対して薬物療法を行うことがあります。
7.ギャンブルをやめるためにできる具体的な対策
回復のためには、意志の力だけに頼らず、ギャンブルをしにくい環境を整えることが重要です。
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ギャンブル関連のアプリやサイトへのアクセスを制限する
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ギャンブル施設に近づく機会を減らす
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現金やクレジットカードの利用方法を見直す
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ギャンブルをしたくなる状況を把握する
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ストレスへの別の対処法を身につける
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自助グループや専門機関の支援を利用する
お金の管理を家族に協力してもらう場合には、本人の同意や生活上の必要性に配慮しながら、無理のない方法を検討しましょう。
8.家族がしてはいけない対応
ギャンブル依存症は、本人だけでなく家族にも大きな影響を与えることがあります。
家族は何とかしてギャンブルをやめさせようとしますが、対応によっては問題が長引く場合があります。
① 借金を無条件に肩代わりする
家族が繰り返し借金を返済すると、ギャンブルによる経済的な問題が見えにくくなり、本人が行動を見直す機会を失う場合があります。
ただし、生活費の確保や債務整理などについては、家族だけで判断せず、専門家への相談が重要です。
② 強く叱責する
怒鳴ったり、人格を否定したりする対応は、本人の孤立や隠し事を増やす場合があります。
③ 家族だけで問題を解決しようとする
家族が借金の返済や監視をすべて引き受けると、家族自身が疲弊してしまうことがあります。
家族自身も相談や支援を受けることが大切です。
9.家族ができる適切な支援
家族は、本人を責めるのではなく、ギャンブルによって生じている具体的な問題を伝えることが重要です。
例えば、「あなたは意志が弱い」と責めるのではなく、「生活費が不足して困っている」「借金について専門家に相談したい」といった形で話すことが役立ちます。
また、本人が受診を拒否している場合でも、家族だけで精神保健福祉センターや依存症の相談機関に相談できます。
10.ギャンブル依存症は再発することがある?
ギャンブル依存症では、いったんギャンブルをやめても、再びギャンブルをしてしまうことがあります。
しかし、再びギャンブルをしたことが、それまでの回復をすべて無意味にするわけではありません。
再発につながった状況を振り返り、対策を見直すことが重要です。
治療では、ギャンブルをしない生活を維持するだけでなく、仕事、家庭、人間関係、経済的な問題などの回復も目指します。
11.どこに相談すればよい?
ギャンブル依存症が疑われる場合には、依存症の専門医療機関、精神科、精神保健福祉センターなどに相談できます。
借金や法律上の問題がある場合には、法テラスなどの専門機関への相談も重要です。
特に、借金による強い絶望感や自殺念慮がある場合には、早急に精神科医療につなげる必要があります。差し迫った危険がある場合は、119番などの緊急支援を利用してください。
まとめ:ギャンブル依存症は適切な治療と支援によって回復を目指せる
ギャンブル依存症は、単にギャンブルが好きなことや、意志が弱いこととは異なります。
ギャンブルをコントロールできなくなり、生活に問題が生じても続けてしまう精神疾患です。
治療では、認知行動療法、動機づけ面接、自助グループなどを活用し、ギャンブルをしない生活を取り戻していきます。
また、本人だけでなく、家族への支援や経済的な問題への対応も重要です。
ギャンブル依存症は、本人の努力だけで解決しようとするのではなく、専門的な治療や周囲の支援を受けながら回復を目指すことが大切です。


