繰り返し皮膚をむしってしまう原因・症状・治療法をわかりやすく解説
「かさぶたを剥がすのがやめられない」「ニキビを何度も触ってしまう」「気づくと指や顔の皮膚をむしっている」。
このような行動が繰り返され、皮膚に傷ができたり、やめようとしてもやめられなかったりする状態を「皮膚むしり症(皮膚むしり障害:Excoriation Disorder)」といいます。
単なる癖ではなく、精神疾患の診断基準(DSM-5)にも含まれている病気です。
1. 皮膚むしり症とは?
皮膚むしり症では、
- 健康な皮膚
- ニキビ
- かさぶた
- ささくれ
- 唇
- 頭皮
などを繰り返し触ったり、爪や指、ピンセットなどでむしったりします。
特徴は、
- やめようと思ってもやめられない
- 傷ができても繰り返してしまう
- 日常生活に支障が出る
ことです。
2. よくむしる部位
よく見られる部位は次のとおりです。
- 顔(ニキビ・毛穴)
- 指先・爪の周囲
- 腕
- 頭皮
- 唇
- 背中
- 肩
- 足
複数の部位をむしる人もいます。
3. なぜ皮膚をむしってしまうの?
原因は一つではありません。
ストレス
仕事や学校、人間関係などのストレスが強いと悪化しやすくなります。
不安
不安が高まると、それを落ち着かせるために皮膚を触ることがあります。
暇・退屈
テレビを見ながら、勉強しながらなど、無意識に行っていることも少なくありません。
完璧主義
「少しでもザラザラしている皮膚を取りたい」という気持ちが強くなる人もいます。
4. 症状の特徴
よくある特徴は、
- むしる前に緊張や違和感がある
- むしると一時的に落ち着く
- その後に後悔する
- 傷が治る前にまたむしる
- 傷跡が残る
という悪循環です。
5. 皮膚むしり症と間違えやすい病気
まず皮膚科で治療が必要な病気がないか確認することも大切です。
例えば、
- アトピー性皮膚炎
- 湿疹
- 接触皮膚炎
- 乾燥肌
- 真菌感染症
などでは、かゆみのために皮膚を掻いてしまうことがあります。
6. 関連することが多い病気
皮膚むしり症では、
- 強迫症(強迫性障害)
- 不安症
- うつ病
- ADHD
などを合併することがあります。
また、毛を抜いてしまう抜毛症と一緒にみられることもあります。
7. 治療法
治療では、
認知行動療法(CBT)
特に**習慣逆転法(Habit Reversal Training:HRT)**が有効とされています。
例えば、
- むしる場面を記録する
- むしりそうになったら手を握る
- ストレス対処を学ぶ
などを行います。
薬物療法
症状や合併症に応じて、
- SSRI(抗うつ薬)
- その他の薬
が使用されることがあります。
8. 自分でできる工夫
症状を和らげるために、
- ハンドクリームで皮膚を保湿する
- 爪を短く切る
- 手袋を活用する(就寝時など)
- ストレスボールを握る
- むしる場面を記録する
- 十分な睡眠をとる
などが役立つことがあります。
9. 受診の目安
次のような場合は、皮膚科や精神科・心療内科への相談を検討しましょう。
- 傷が繰り返しできる
- 感染を起こしている
- 傷跡が目立つ
- やめようとしてもやめられない
- 学校や仕事に支障がある
- 強い不安や落ち込みを伴う
まとめ
皮膚むしり症は、単なる癖ではなく、繰り返し皮膚をむしってしまい、自分ではやめにくくなる精神疾患の一つです。
重要なポイントは次のとおりです。
- ストレスや不安で悪化しやすい
- 指先や顔、頭皮などを繰り返しむしる
- 一時的に安心しても、その後に後悔する悪循環が起こる
- 強迫症や不安症、うつ病などを合併することがある
- 認知行動療法(特に習慣逆転法)や必要に応じた薬物療法が効果的な場合がある
「意思が弱いからやめられない」のではありません。傷が繰り返しできたり、生活に支障が出たりしている場合は、一人で抱え込まず、皮膚科や精神科・心療内科で相談することが大切です。


