「心の病気なのに、なぜ採血するの?」
精神科や心療内科を受診した際、
「精神的な症状なのに血液検査が必要なのですか?」
と疑問に思う方は少なくありません。
実は、
精神症状の背景に身体の病気が隠れていたり、薬の安全性を確認したりするために、血液検査はとても重要です。
身体の病気が隠れていないか確認する
気分の落ち込みや不安、不眠などは、
必ずしも精神疾患だけが原因とは限りません。
例えば、
- 甲状腺機能低下症
- 甲状腺機能亢進症
- 貧血
- 肝疾患
- 腎疾患
などでも似た症状が現れることがあります。
甲状腺の病気を見つけるため
甲状腺は代謝を調整する重要な臓器です。
甲状腺機能低下症
- 気分の落ち込み
- 眠気
- 意欲低下
甲状腺機能亢進症
- 不安
- 動悸
- イライラ
などがみられます。
そのため、
精神症状の原因として見逃さないことが大切です。
貧血の確認
貧血があると、
- 疲れやすい
- 集中できない
- めまい
などが起こります。
これらはうつ病と似ているため、血液検査で確認します。
薬の副作用を確認するため
精神科薬の中には、
定期的な採血が必要なものがあります。
抗精神病薬
一部の抗精神病薬では、
- 体重増加
- 糖尿病
- 脂質異常症
のリスクがあります。
そのため、
- 血糖値
- HbA1c
- コレステロール
などを確認します。
代表例
- オランザピン
- クエチアピン
気分安定薬
リチウム
では、
- 腎機能
- 甲状腺機能
- 血中濃度
を定期的に確認します。
栄養状態の確認
場合によっては、
- 鉄
- ビタミンB群
- 葉酸
などを調べることもあります。
不足していると、
疲労感や集中力低下につながることがあります。
認知症や高齢者では特に重要
高齢者で、
- 物忘れ
- 幻覚
- せん妄
などがある場合、
身体疾患が原因であることも少なくありません。
そのため採血は重要です。
採血で分からないこともある
血液検査は重要ですが、
うつ病や不安障害そのものを診断する検査ではありません。
診断には、
- 症状
- 経過
- 生活状況
などの問診が最も重要です。
まとめ
| 血液検査の目的 | 内容 |
|---|---|
| 身体疾患の除外 | 甲状腺疾患、貧血など |
| 薬の安全確認 | 肝機能、腎機能、血糖値 |
| 副作用チェック | 糖尿病、脂質異常症など |
| 栄養状態確認 | 鉄、葉酸、ビタミンなど |
| 高齢者評価 | 認知症やせん妄の鑑別 |
最後に
精神科で行う血液検査は、
「心の症状の背景にある身体の問題を見逃さないため」
そして、
「薬を安全に続けるため」
に行われます。
採血は診断や治療を支える大切な検査の一つであり、精神科医療においても重要な役割を担っています。


