手足の震え・全身の震え・緊張による震えの原因と、精神科・内科を受診する目安
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「緊張すると手が震える」
「何もしていないのに身体が小刻みに震える」
「突然、動悸や息苦しさとともに全身が震え始める」
このような症状を経験したことはないでしょうか。
身体が震える症状は、医学的には「振戦(しんせん)」と呼ばれることがあります。震えは、緊張や不安による一時的な反応として起こることもあれば、神経疾患、内分泌疾患、薬の副作用などが原因となる場合もあります。
特に、精神的なストレスによる震えと、身体の病気による震えは、症状だけで簡単に区別できるものではありません。
今回は、身体が震える原因として考えられる病気、精神疾患との関係、震え方による特徴、治療法、受診のタイミングについて解説します。
1.身体が震えるのはなぜ?
身体の震えには、さまざまな仕組みがあります。
寒いときに身体が震えるのは、筋肉を収縮させて熱を作ろうとする正常な反応です。
また、強い緊張や恐怖を感じると、自律神経のうち交感神経の働きが高まり、筋肉の細かな震えが目立つことがあります。
一方、脳や神経の働きに異常がある場合には、自分の意思とは関係なく震えが生じることがあります。
震えを評価するときには、次のような違いが重要です。
| 震えの種類 | 特徴 | 考えられる原因 |
|---|---|---|
| 安静時振戦 | 手足を動かしていないときに震える | パーキンソン病など |
| 姿勢時振戦 | 手を前に伸ばすなど、姿勢を保つと震える | 本態性振戦、甲状腺機能亢進症など |
| 動作時振戦 | 物を持つ、字を書くなどの動作で震える | 本態性振戦など |
| 企図振戦 | 目標に手を近づけるほど震えが強くなる | 小脳の障害など |
| 生理的振戦の増強 | 緊張、疲労、カフェインなどで細かな震えが目立つ | ストレス、睡眠不足、薬剤など |
なお、突然全身がガクガクと動く症状は、振戦ではなく、けいれんやミオクローヌスなどの場合もあります。
2.精神的ストレスや不安による震え
強い不安やストレスを感じると、交感神経が活発になり、アドレナリンなどの作用によって心拍数が増加し、筋肉が緊張します。
その結果、手足や身体に細かな震えが現れることがあります。
例えば、就職面接、試験、人前での発表、強い叱責などの場面で震えが起こることがあります。
このような震えは、緊張が和らぐと改善する場合が多いものの、繰り返し起こると「また震えるのではないか」という予期不安につながることがあります。
社交不安症との関係
人前で話すときや他人から注目される場面で、強い恐怖や震えが生じる場合には、社交不安症が関係していることがあります。
震えそのものに加えて、「震えていることを周囲に知られたくない」という不安が強まり、対人場面を避けるようになることもあります。
3.パニック発作による身体の震え
パニック発作では、突然強い恐怖や不安が生じ、身体症状が急激に現れることがあります。
代表的な症状には、次のようなものがあります。
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手足や全身の震え
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動悸、心拍数の増加
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息苦しさ
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発汗
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めまい
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胸の不快感
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手足のしびれ
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死んでしまうのではないかという恐怖
パニック発作では、症状が数分以内にピークに達することが多くあります。
ただし、パニック発作に似た症状は、不整脈、低血糖、甲状腺疾患などでも起こります。
初めて強い震えや動悸が現れた場合には、パニック発作と自己判断せず、身体疾患の可能性を確認することが大切です。
4.本態性振戦:手の震えでよくみられる病気
本態性振戦は、比較的よくみられる振戦性疾患の一つです。
特に、手を前に伸ばしたときや、文字を書く、コップを持つといった動作中に震えが目立ちます。
主な特徴は次のとおりです。
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両手に震えが現れることが多い
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字を書く、食事をするなどの動作で目立つ
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緊張すると震えが強くなる場合がある
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家族にも同じような震えがみられることがある
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年齢とともに症状が目立つ場合がある
本態性振戦は、精神疾患ではありません。
しかし、震えを人に見られることへの不安が強まり、対人場面を避けるようになる場合があります。
治療には、症状や持病に応じてプロプラノロールなどの薬剤が使用されることがあります。
5.パーキンソン病による震え
パーキンソン病は、脳内のドーパミン神経系などの働きが障害される神経変性疾患です。
代表的な症状として、安静時の震え、動作の遅さ、筋肉のこわばりなどがあります。
特に、片側の手から震えが始まることがあります。
また、歩幅が小さくなる、表情が乏しくなる、動作に時間がかかるといった変化を伴うこともあります。
ただし、手が震えるからといって、必ずパーキンソン病というわけではありません。
震えの種類や他の神経症状を確認するため、脳神経内科での評価が重要です。
6.甲状腺機能亢進症による震え
甲状腺機能亢進症では、甲状腺ホルモンの作用が過剰になり、身体の代謝が活発になります。
その結果、次のような症状が現れることがあります。
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手の細かな震え
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動悸
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発汗
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暑がり
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体重減少
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イライラ
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不安感
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疲れやすさ
これらの症状は、不安症やパニック発作と似ていることがあります。
甲状腺機能亢進症が疑われる場合には、血液検査で甲状腺ホルモンなどを調べます。
7.低血糖による身体の震え
血糖値が低下すると、身体が血糖を回復させようとして交感神経が活発になり、震えや冷や汗、動悸などが現れることがあります。
特に糖尿病治療薬を使用している人では注意が必要です。
低血糖では、次のような症状がみられます。
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手足の震え
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冷や汗
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強い空腹感
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動悸
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めまい
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集中力低下
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意識の混乱
低血糖が疑われ、本人が意識清明で安全に飲み込める場合には、ブドウ糖などを速やかに摂取することが重要です。
意識が低下している場合には、無理に飲食させず、救急対応が必要です。
8.薬の副作用によって身体が震えることもある
薬の影響によって震えが生じることもあります。
例えば、次のような薬剤が関係する場合があります。
| 薬剤の種類 | 震えとの関係 |
|---|---|
| 一部の抗うつ薬 | 振戦が副作用として現れる場合がある |
| リチウム | 手の細かな震えが現れることがある |
| バルプロ酸 | 振戦が副作用としてみられる場合がある |
| 抗精神病薬 | 薬剤性パーキンソニズムなどによって震える場合がある |
| 気管支拡張薬の一部 | 交感神経への作用で震えが現れることがある |
また、アルコールを大量に飲んでいる人が急に飲酒をやめた場合には、離脱症状として震えが生じることがあります。
重いアルコール離脱では、けいれんや意識障害が起こる危険もあります。
薬の副作用が疑われても、自己判断で急に中止せず、処方医に相談してください。
なお、リチウム服用中に強い震え、ふらつき、嘔吐、意識の変化などが現れた場合には、リチウム中毒の可能性があるため、緊急の医療評価が必要です。
9.機能性神経症状症による震え
機能性神経症状症では、神経系の働きに変化が生じ、震えや脱力、歩行障害などの症状が現れることがあります。
機能性振戦では、注意の向け方や別の動作によって震えの性質が変化するなど、診察で特徴的な所見が認められる場合があります。
これは、本人が意図的に震えを起こしているという意味ではありません。
また、必ずしも明確な心理的ストレスが見つかるわけではありません。
診断には神経学的診察が重要で、必要に応じて脳神経内科と精神科などが連携して治療を行います。
10.身体が震えるときは何科を受診すればよい?
| 症状の特徴 | 受診先の目安 |
|---|---|
| 緊張する場面で震えが強くなる | まず内科などで身体的原因を確認し、必要に応じて精神科・心療内科 |
| 動悸や強い不安とともに震える | 内科、必要に応じて精神科・心療内科 |
| 字を書く、コップを持つと震える | 脳神経内科 |
| 安静時に片手が震える | 脳神経内科 |
| 震えに加えて体重減少や発汗がある | 内科・内分泌内科 |
| 薬を開始・増量してから震える | 処方医 |
| 意識障害やけいれんを伴う | 救急外来 |
11.すぐに受診すべき危険な震え
緊急性の高い症状
次のような場合には、速やかな救急対応が必要です。
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突然の震えに加えて、片側の手足の麻痺や言葉の出にくさがある
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意識が低下している、またはけいれんしている
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強い頭痛や急激な神経症状を伴う
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高熱、筋肉の強いこわばり、意識の変化がある
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低血糖が疑われ、意識が悪い
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薬の服用後に強い震えや意識障害が現れた
これらの症状がある場合は、119番で救急車を呼ぶなど、速やかに救急医療につなげてください。
12.ストレスによる震えを軽減するための対処法
① 呼吸をゆっくり整える
緊張が強いときには、無理のないペースでゆっくり呼吸することが役立つ場合があります。
② 睡眠不足を改善する
睡眠不足や疲労によって震えが目立つことがあります。生活リズムを整えることが大切です。
③ カフェインの摂取量を見直す
コーヒーやエナジードリンクなどのカフェインが、震えを強める場合があります。
④ 不安症がある場合は適切な治療を受ける
社交不安症やパニック症などが関係している場合には、認知行動療法や薬物療法などが役立つことがあります。
ただし、こうした対処法はストレスに関連する震えを軽減するためのものであり、神経疾患や内科疾患による震えの治療に代わるものではありません。
まとめ:身体の震えは精神的ストレスだけが原因とは限らない
身体が震える症状には、緊張やストレスによる生理的な反応から、本態性振戦、パーキンソン病、甲状腺機能亢進症、低血糖、薬の副作用など、さまざまな原因があります。
また、社交不安症やパニック症などの精神疾患でも震えが現れることがあります。
大切なのは、震えが起こる場面、持続時間、身体のどの部分が震えるか、ほかにどのような症状があるかを確認することです。
「緊張しやすい性格だから」「ストレスのせいだから」と決めつけず、震えが繰り返される場合や日常生活に支障がある場合には、医療機関で原因を調べることが重要です。


